2007年11月26日
佐藤克文「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」光文社新書
「ハイテク海洋動物学への招待」という副題を持つこの本の内容は、とても楽しい。一つは内容が分かりやすいのに非常に興味深い知見に満ちているおり、もう一つは新しい学問の創世記にだけ生まれる興奮に満ちているからだ。ペンギンやアザラシ、ウミガメなどの海洋生物の生態、特に水中にいるときの生態はほとんどわかっていない。何しろ簡単には観察できないのだ。まして極地の近くに生息するペンギンなどは氷の下を遊泳しているから、観察は難しい。生体に電波の発信機を付けても、水中では、電波は基本的に使えない。
そこで、考え出されたのが、ペンギンなどにデータロガーという記録装置を付けて、これを回収するという方法だ。しかしこの方法は、データロガーを付けた個体が、元の場所に戻ってくるという習性を持っていないと使えない。ウミガメは産卵のために2週間ほどで同じ砂浜に帰ってくる、そこでこの間にデータロガーを付けて回収する。ペンギンは、子育ての間中、つがいの他方が餌取りに出かけ、やがて営巣地に戻ってくる、そこで餌取りに出かけるペンギンにデータロガーを付けて回収する。
そうやって集めたデータから、水中でのこれらの動物の振る舞いを読み取り、水中生物の基礎的な情報を集め、その振る舞いを記述していく。なぜ母親アザラシは、餌取りに関係のない水面近くの遊泳を繰り返すのか、ペンギンは浮上するとき、なぜ胸びれを動かさないのか、そうした問いは、動物の行動については、きわめて基本的なものらしい。そうな基本的なこともまだわかっていないという。そしてそうした基本的な事項を一つ一つ解いていく、そこには、まだ誰も知らない事実や行動を発見していく喜びが満ちている。
一つの学問が立ち上がろうとしている現場の近くまで、この本は読者を連れて行く。ペンギンが水中に潜る氷の開口部のように、未知の世界へのわずかな覗き窓がそこにある。思わず、首を伸ばしてその窓から、氷下の世界、深度300メートルの世界を覗き込みたくなる。
そこで、考え出されたのが、ペンギンなどにデータロガーという記録装置を付けて、これを回収するという方法だ。しかしこの方法は、データロガーを付けた個体が、元の場所に戻ってくるという習性を持っていないと使えない。ウミガメは産卵のために2週間ほどで同じ砂浜に帰ってくる、そこでこの間にデータロガーを付けて回収する。ペンギンは、子育ての間中、つがいの他方が餌取りに出かけ、やがて営巣地に戻ってくる、そこで餌取りに出かけるペンギンにデータロガーを付けて回収する。
そうやって集めたデータから、水中でのこれらの動物の振る舞いを読み取り、水中生物の基礎的な情報を集め、その振る舞いを記述していく。なぜ母親アザラシは、餌取りに関係のない水面近くの遊泳を繰り返すのか、ペンギンは浮上するとき、なぜ胸びれを動かさないのか、そうした問いは、動物の行動については、きわめて基本的なものらしい。そうな基本的なこともまだわかっていないという。そしてそうした基本的な事項を一つ一つ解いていく、そこには、まだ誰も知らない事実や行動を発見していく喜びが満ちている。
一つの学問が立ち上がろうとしている現場の近くまで、この本は読者を連れて行く。ペンギンが水中に潜る氷の開口部のように、未知の世界へのわずかな覗き窓がそこにある。思わず、首を伸ばしてその窓から、氷下の世界、深度300メートルの世界を覗き込みたくなる。
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アルバイト(内職)【】at 2007年11月28日 03:16