2009年07月10日

全要研集会第1分科会から−9

 この点を整理してみると、直接、難聴者や中途失聴者とコミュニケーションする、話をする、というのは、要するに、筆談する本人ですよね。これに対して、他人の話を伝える、聞こえない人のコミュニケーションを支援する人というのが、要約筆記をする人、ということになります。

 そう考えると、これまで、要約筆記をする人、つまり他人のコミュニケーションを支援する人の養成は、「要約筆記奉仕員」の養成として行なわれてきた訳です。これは、1981年(昭和56年)に要約筆記奉仕員の養成が、国の障害者社会促進事業として、いわゆるメニュー事業に入った時にから、一貫してそうでした。

 これに対して、では、筆談する人の養成というのは、どこかで行なわれてきた、というと、組織的な行なわれてきたということはありませんでした。筆談でもって、聞こえない人、聞こえにくい人に直接コミュニケーションすることをいとわない人の養成というのは、メニュー事業にも入っていませんし、どこかで毎年行なわれてきたということも、少なくとも私は聞いたことがありませんでした。
 社会に、聞こえない人に対する理解を広げていく、という観点からは、本来もっと筆談する人の養成というか、気軽に筆談する人を増やしていく、という取り組みがなされても良かったはずです。しかし、残念ながら、こうした取り組みはほとんど行なわれてきませんでした。これはどうしてでしょうか。


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プロフィール
TAKA
コミックから評論、小説まで、本の体裁をしていれば何でも読む。読むことは喜びだ。3年前に手にした「美術館三昧」(藤森照信)や「個人美術館への旅」を手がかりに、最近は美術館巡りという楽しみが増えた。 大学卒業後、友人に誘われるままに始めた「要約筆記」との付き合いも30年を超えた。聴覚障害者のために、人の話を聞いて書き伝える、あるいは日本映画などに、聞こえない人のための日本語字幕を作る。そんな活動に、マッキントッシュを活用してきた。この美しいパソコンも、初代から数えて現在8代目。iMacの次はMAC mini+LEDディスプレイになった。       下出隆史
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