2009年08月01日

全要研集会第1分科会−15

 ということは現状がどうなっているかというと、現在の要約筆記事業は、障害者の社会参加の促進を目的として養成された要約筆記奉仕員を、コミュニケーション支援を目的として派遣している、ということになります。要約筆記奉仕員の養成目的と、要約筆記者の派遣目的とは一致していないのです。



 参考のために手話通訳事業について見ておきましょう。もちろん手話と要約筆記が同じでなければならないということはありませんが、要約筆記は、第二種社会福祉事業である手話通訳事業に含まれていますから、基本的には両者は同じ位置づけだろうと思います。
 そうすると、手話については、別記9に、「手話通訳者養成事業」が書かれていて、手話通訳者の養成が規定されています。その養成の目的は、手話を用いたコミュニケーション支援のためであり、派遣の目的と一致しています。
 ということは、同様に、別記9に、要約筆記者の養成が規定されれば、要約筆記者の養成目的と派遣の目的は合致するはずです。



 以上、自立支援法の中の規定というか、地域生活支援事業の実施要綱を見てきましたが、ここまでの仕組みを、前に見た社会啓発の事業と重ねてみたのが、次の図です。

 先に、要約筆記をする人の養成と、社会啓発の取り組みを分離した方が良いのではないか。その方が社会啓発の取り組みを広げ、社会普及できるのではないか、ということを話しました。この要約筆記する人の養成は、要約筆記者養成として、別記9に、手話通訳者の養成と並べて規定されるべきものだと思います。
 そうすると、この社会啓発の活動として、要約筆記奉仕員の養成が使えるのではないでしょうか。要約筆記奉仕員の養成は、市町村でも(別記6)、都道府県でも(別記10)、できるわけですから。


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TAKA
コミックから評論、小説まで、本の体裁をしていれば何でも読む。読むことは喜びだ。3年前に手にした「美術館三昧」(藤森照信)や「個人美術館への旅」を手がかりに、最近は美術館巡りという楽しみが増えた。 大学卒業後、友人に誘われるままに始めた「要約筆記」との付き合いも30年を超えた。聴覚障害者のために、人の話を聞いて書き伝える、あるいは日本映画などに、聞こえない人のための日本語字幕を作る。そんな活動に、マッキントッシュを活用してきた。この美しいパソコンも、初代から数えて現在8代目。iMacの次はMAC mini+LEDディスプレイになった。       下出隆史
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