2009年07月11日

全要研集会第1分科会から−11

 本来、社会啓発の取り組みは、社会に対して、もっと広く行なっていくべきものです。社会啓発が進めば、聞こえない人、聞こえにくい人のことを理解している人が周囲に増え、筆談に応じてくれる人も増える、という意味で、中途失聴・難聴者の暮らしやすい社会に近づくはずです。社会啓発の取り組みを今までより更に広げる必要がある、ということです。そのためには、要約筆記をする人の養成と、社会啓発の取り組みとを、切り離した方が良いのではないでしょうか。
 これまで、要約筆記奉仕員の養成だけがもっぱら行なわれており、しかも要約筆記奉仕員には、常にもっと分かる要約筆記、要するに通訳としての要約筆記の高い技術が求められてきました。この結果、要約筆記奉仕員の養成が、社会啓発にとってはむしろ制約条件となっていたのではないでしょか。そう見るならば、この図表のように、両者を切り離すことで、つまり要約筆記する人の養成社会啓発の活動とを、一旦切り離すことで、社会啓発をもっと広い取り組みにできるのではないか、ということです。
 要約筆記奉仕員に関する検討作業部会では、この点についてまとめ、第11回全国要約筆記研究討論集会の提言論文として公表しました。理事会が発表した報告書の末尾には、このときの提言論文も掲載されていますが、提言論文の主張の一つの柱は、この要約筆記する人の養成と社会啓発の取り組みとを、切り離す方が、社会啓発を進める上でメリットが大きいのではないか、というものだと思います。そして、その考えは、研究討論集会に寄せられた論文を見る限り、多くの人々に支持されました。
 更に、提言論文には、もう一つの柱があったと私は思います。それは、社会啓発の内容を分析し、聴覚障害者にとって、どのような社会が望ましいと考えるか、という提言です。提言論文はこの点を分析し、次のように「望ましい社会のあり方」をまとめました。そして、その提言を先取りするような取り組みが、研究討論集会の論文で発表されていました。そのうちにいくつかの論文は、全要研理事会が公表した「報告書」の巻末に、資料として掲載されています。


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TAKA
コミックから評論、小説まで、本の体裁をしていれば何でも読む。読むことは喜びだ。3年前に手にした「美術館三昧」(藤森照信)や「個人美術館への旅」を手がかりに、最近は美術館巡りという楽しみが増えた。 大学卒業後、友人に誘われるままに始めた「要約筆記」との付き合いも30年を超えた。聴覚障害者のために、人の話を聞いて書き伝える、あるいは日本映画などに、聞こえない人のための日本語字幕を作る。そんな活動に、マッキントッシュを活用してきた。この美しいパソコンも、初代から数えて現在8代目。iMacの次はMAC mini+LEDディスプレイになった。       下出隆史
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