2007年09月11日
星空に字幕を
地元の要約筆記サークル・まごのてでは、この10年ほど、名古屋市科学館で上映されるプラネタリウムに字幕を付けるという試みを、地元の難聴者協会・名難聴やパソコン要約筆記なごや組とともに行なっている。今日はちょっとその話をしたい。というのは、次回の上演の期日が近づいており、その案内の発送をそろそろ行なうからだ。
写真は、名古屋市科学館の天文館・プラネタリウムで実際に投影された字幕の様子を写したものだ。科学館の公式サイトにも、簡単だが、字幕投影のシステムについて掲示がある。また上記の名難聴のサイトにも詳しい解説が掲載されている。
プラネタリウムの上演に字幕を付けるといっても何のことかピンと来ない方も多いと思う。名古屋市科学館の場合、複数の学芸員の方がおられ、毎回約1時間の上演を交代で担当される。解説はその時々の夜空の星座の話が定番としてあり、それに加えて、毎月のトピックが決まっている。先回字幕を付けた2007年7月は、「流星群の夜」。ペルセウス座流星群の話が取り上げられた。今回の字幕付け上演は、
10月27日(土) 10時から
の予定だ。10月の場合、通常の上演のテーマは、「未来の北極星」とだが、今回は小学校低学年の子どもたちを想定したキッズアワーなので、テーマは、「そらとぶうまのだいぼうけん」だ。キッズアワーの場合、学芸員の方は、会場の子どもたちに質問をしたりして、会場一体となった楽しい時間になる。それを字幕にして、星が輝いているプラネタリウムのドームに一緒に投影する。文字の間に一等星が輝いていたりする。
こうしたプラネタリウムの字幕付き上演もすでに20回を超えた。20回を超える上演の経験から分かってきたことは、プラネタリウムのように、ある対象(ここでは多くは星空)を見せながらの語り(学芸員の語り)を聞こえない人に伝えるとう作業は、いわゆるその場の通訳である要約筆記通訳とも、映画の字幕とも異なる独自の課題があり、固有の解決方法が必要になる、ということだ。
星空の解説がビデオなどを用いて行なわれる場合は、解説の内容を伝える情報保障は、映画の字幕によるものに近いだろう。話される内容は決まっているからだ。名古屋市科学館の場合は、学芸員の方が自在に話をされる。会場の雰囲気、入場者の年齢層、上演前後の天文現象などに合わせて、毎回の上演の内容は異なる。
また、学芸員の方は、ポインタ(矢印←)を使って、星の場所や星の動きなどを示すことも少なくない。「この赤い星と、こちらの青い星をつないで・・・」と話しながら、赤い星と青い星を順番にポインタで指していく。解説の言葉から文字が出るまでに一定時間以上の遅れがあれば、字幕を出しても、情報保障としてはうまく機能しない。
プラネタリウムの上演に字幕を付け始めた最初の頃は、そのあたりの課題については、ほとんど分かっていなかった。機材を用い、字幕の投影ができただけで喜んでいた。しかし年一、二回の上演を継続するなかで、次第に、情報保障の課題が見えてきたのだ。あらかじめ全文が準備できる映画の字幕でもなく、その場の情報保障である通訳としての要約筆記でもない独自の活動領域がそこにはある。おそらく学校教育の場の情報保障の持っている課題と、それは似ているのではないか、そう思っている。
字幕付きの日本映画の上映は、最近少し広がってきているが、プラネタリウムの字幕付き上演はまだまだ珍しい。字幕付きの上演を体験して、自分が小学生の頃にこんなサポートがあったら、確かな情報を受け取れたはず、星空を楽しむだけでなく、確実な情報を手に入れられたら、もっと自信を持って生きられたと思う−という感想を寄せてくださった方があった。聞こえない人にとって、音声による情報、あるいは音声を伴う情報を確実に手に入れることはなかなか難しい。様々な支援があり得る。どれか一つの支援で足りるというものではないのだ。
まごのてというサークルは、OHPを使った要約筆記の黎明期に活動を始め、日本映画の字幕付き上映、プラネタリウムの字幕付き上演など、様々な支援に取り組んできた。ボランティアサークルらしい先進的な支援の取り組みに、私も継続して協力していきたい。
写真は、名古屋市科学館の天文館・プラネタリウムで実際に投影された字幕の様子を写したものだ。科学館の公式サイトにも、簡単だが、字幕投影のシステムについて掲示がある。また上記の名難聴のサイトにも詳しい解説が掲載されている。
プラネタリウムの上演に字幕を付けるといっても何のことかピンと来ない方も多いと思う。名古屋市科学館の場合、複数の学芸員の方がおられ、毎回約1時間の上演を交代で担当される。解説はその時々の夜空の星座の話が定番としてあり、それに加えて、毎月のトピックが決まっている。先回字幕を付けた2007年7月は、「流星群の夜」。ペルセウス座流星群の話が取り上げられた。今回の字幕付け上演は、
10月27日(土) 10時から
の予定だ。10月の場合、通常の上演のテーマは、「未来の北極星」とだが、今回は小学校低学年の子どもたちを想定したキッズアワーなので、テーマは、「そらとぶうまのだいぼうけん」だ。キッズアワーの場合、学芸員の方は、会場の子どもたちに質問をしたりして、会場一体となった楽しい時間になる。それを字幕にして、星が輝いているプラネタリウムのドームに一緒に投影する。文字の間に一等星が輝いていたりする。
こうしたプラネタリウムの字幕付き上演もすでに20回を超えた。20回を超える上演の経験から分かってきたことは、プラネタリウムのように、ある対象(ここでは多くは星空)を見せながらの語り(学芸員の語り)を聞こえない人に伝えるとう作業は、いわゆるその場の通訳である要約筆記通訳とも、映画の字幕とも異なる独自の課題があり、固有の解決方法が必要になる、ということだ。
星空の解説がビデオなどを用いて行なわれる場合は、解説の内容を伝える情報保障は、映画の字幕によるものに近いだろう。話される内容は決まっているからだ。名古屋市科学館の場合は、学芸員の方が自在に話をされる。会場の雰囲気、入場者の年齢層、上演前後の天文現象などに合わせて、毎回の上演の内容は異なる。
また、学芸員の方は、ポインタ(矢印←)を使って、星の場所や星の動きなどを示すことも少なくない。「この赤い星と、こちらの青い星をつないで・・・」と話しながら、赤い星と青い星を順番にポインタで指していく。解説の言葉から文字が出るまでに一定時間以上の遅れがあれば、字幕を出しても、情報保障としてはうまく機能しない。
プラネタリウムの上演に字幕を付け始めた最初の頃は、そのあたりの課題については、ほとんど分かっていなかった。機材を用い、字幕の投影ができただけで喜んでいた。しかし年一、二回の上演を継続するなかで、次第に、情報保障の課題が見えてきたのだ。あらかじめ全文が準備できる映画の字幕でもなく、その場の情報保障である通訳としての要約筆記でもない独自の活動領域がそこにはある。おそらく学校教育の場の情報保障の持っている課題と、それは似ているのではないか、そう思っている。
字幕付きの日本映画の上映は、最近少し広がってきているが、プラネタリウムの字幕付き上演はまだまだ珍しい。字幕付きの上演を体験して、自分が小学生の頃にこんなサポートがあったら、確かな情報を受け取れたはず、星空を楽しむだけでなく、確実な情報を手に入れられたら、もっと自信を持って生きられたと思う−という感想を寄せてくださった方があった。聞こえない人にとって、音声による情報、あるいは音声を伴う情報を確実に手に入れることはなかなか難しい。様々な支援があり得る。どれか一つの支援で足りるというものではないのだ。
まごのてというサークルは、OHPを使った要約筆記の黎明期に活動を始め、日本映画の字幕付き上映、プラネタリウムの字幕付き上演など、様々な支援に取り組んできた。ボランティアサークルらしい先進的な支援の取り組みに、私も継続して協力していきたい。